「洋紙」に対して「和紙」、「洋間」に対して「日本間」、「洋画」に対して「日本画」。現代における私たちの生活文化の形態は、日本の伝統に対し、つねに明治以降に受け入れてきた欧米の様式を対置させつつ、両者を融合させながら発展してきました。いつの世も、異なるものをすんなり受け入れてきた順応性の高い日本人は、折衷的な要素をつくり上げるのが得意です。
日本古来の手漉き和紙の生産にも、洋紙の原料である木材パルプを混入させて機械漉きを導入するなど、伝統的な和紙の文化にさまざまな“洋”の要素を必要に応じて取り入れ、経済性、生産性を向上させる努力を続けてきました。こうして多様な和紙が、手漉きや機械漉きでつくられるようになったのです。