お札は紙に印刷されたものです。これはどの国でも同じで、プラスチックフィルムやその他多くの薄物素材が作られている現在でも、お札のベースは天然高分子から作られた紙です。
それだけに、紙というのは他のフィルム状のものではどうしても得られない大きな特徴をもったものです。合成ゴムやナイロンは、天然ゴムや天然繊維ではどうしても及ばない優れた点をもっていますが、紙はそれと逆で、合成紙やプラスチックフィルムでは到底かなわない優れた点をもったものです。
そういう優れた「紙」がお札のベースに用いられるのは当然ですが、その紙の中でも「紙幣用紙」は特に念入りに作られる高級紙中の高級紙です。どこが違うかというと、まず第一に強いこと、第二に偽造されない要素をもったものであること、第三に風合いが他の一般の紙とは違ったものであること、などです。
いうまでもなく、お札は何回となく人の手から手へ渡され、折られ、畳まれ、時には汗にまみれ、時には水につかり、洗濯機でもまれ、あるいは熱に当てられるばかりでなく、最近では自動販売機・両替機・預入れ払出し機などの機械をくぐるなど、世の荒波にもまれ続けて大切な役目を果たしているものです。
このような環境にさらされている間にボロボロになっては役に立ちません。これに対する強さとしては、引裂強さ、表面強さなどが要求されます。