一般のコーテッド紙はグロス調である。すなわち、白紙光沢および印刷光沢(とくに印刷光沢)が高いほどハイグレードとして評価される。
“見る”ことを主眼とする商業印刷の分野では、画面にテリがあるほど美麗な印刷物として、その評価が高まる。これに対して“読む”ことを主目的とする書籍印刷では、光の反射によって眼が疲れ、かつ文字も読みにくくなるので光沢のある紙は好まれない。非塗工紙ならば光沢度は低いのでこの恐れは少なくなる。しかしそれでも上質紙のように白色度が高いと長時間の読書には適さないので、クリームに着色した、いわゆるクリーム本文用紙が普及している。
書籍の本文に写真版(スミー色あるいは多色)が入ると非塗紙の平滑度では網点の再現は不十分である。ここに、つやはないが、平滑でインキ受理性のすぐれた印刷用紙というニーズがあり、これに応えるものがマットコーテッド紙である。
マットコーテッド紙の印刷物は、白色面、単色印刷面、多色印刷面、いずれも光沢が低く、全面がフラットで、しっとりした感じを与える。
用途は出版物の本文用紙から、カレンダー・カタログ・パンフレットなどの商業美術印刷までにひろく汎用性を持っております。