今日、印刷物に対するニーズより複雑多様化しつつあるのが現状のようです。紙質(用紙)やインキの選択が、そういったニーズに応えるためにたいへん重要になってきています。
紙質や紙のパターン、色、厚さが多種多様になっているのは周知の事ですが、印刷用インキにも従来からある汎用プロセスインキのほかにもあらゆる機能をもった、また用途に合わせたインキが登場しているようです。UVインキ、マットインキ、香料入インキ、蛍光反応インキetc様ざまです。
用紙とインキとの相性でよく誤解される事が多いのが光る紙(コーテッド紙)はインキの乾きやつきが悪いということです。これは全くの誤りで、キャストコートなどインキのセット時間(溶剤が紙にしみこみ始め表面の乾燥がはじまる)は上質との比較では、かえって上質の方が遅いようです。
インキの乾きやつきのわるい紙は、ファイバーや合成紙、クロス紙、メタル加工紙などですが、これを改善するためにはインキへのドライヤーetcの混入ではなく、インキの選択が肝心です。
各インキメーカーから、合成紙用のインキが出されていますが、これを利用することにより、改善が可能です。これらの紙には、今はやりのオーバーナイトインキ(ノンスキンインキ)は逆は相性が悪いので注意を要します。
ノーカーボン紙の減感(写らない方が良い)部分に利用される滅感インキは、一般の汎用インキとは相性が悪く、耐性インキを使えばにじみや浮き出しを防げます。またこの滅感インキは一部メーカーの筆記用インキや朱肉(特に簡易スタンパー)との相性が悪いので注意を要します。
紙とインキの関係で一番大切で、しかも気がつかない点は、紙や印刷効果、目的に合わせて、インキも変えなければいけないということです。紙にもインキにもオールマイティーのトランプのジョーカーのようなものはありません。
例えばベタの多い印刷物には平滑度の高く、表面強度のある紙を選びますが、それにつやが求められれば、超光沢インクが必要です。つやが不要でシックな効果が求められれば、マット紙を使いますが、こすれ防止に、マット紙用インキやカルトンインキが必要でしょう。選挙ポスターには耐水性のある用紙が選ばれますが、色とび防止に耐光性インキを忘れることはできません。つねに適切な用紙とインキの選択をお忘れなく。