“再生紙”は、最近の発明品ではありません。紙が中国から日本に伝来してきた奈良時代には古紙を漉いた紙があり、正倉院の文書の中に存在することが確認されています。
平安時代には、故人からもらった手紙などを利用して経典用の紙を作るなど、宗教的な意味合いで使われたそうです。すでに文字などが書かれて不用になった紙を反故紙(ほこがみ)といい、これを集めて漉き返した紙を宿紙(しゅくし)と呼びました。墨を除く技術がなかったために墨の色が残り、薄墨紙とか水雲紙ともいわれています。
江戸時代には、各地で再生紙が作られるようになりました。大消費地である江戸では、江戸時代初期の寛永の頃から浅草の周辺で、浅草紙と称する再生の、現在の“ティッシュ”や“トイレット・ペーパー”用の紙が作られるようになりました。
現在では、古紙が原料に占める割合は、5割を超えていますが、古紙が本格的に利用されるようになったのは戦後、昭和20年代後半から新聞古紙を板紙の原料として使うようになってからです。昭和40年代まで、古紙は主として段ボール原紙や白板紙などに使われていました。昭和50年代になって、古紙は新聞用紙や中級紙など印刷用紙分野にも使用されるようになりました。