和紙の話

清少納言といえば「枕草子」の作者として有名ですが、この本の書かれた謂れをと存知ですか。「枕草子」の跛文をみますと、内大臣伊周が中宮定子に献上した紙を作者がまた中宮から賜わって、そのたくさんの紙を書きつくそうとして書いたことがわかります。

和紙は貴重なものとして全国で作られ、平安貴族の女性たちが美しい料紙を競って求めたこともあって、技術も発達し多彩な加工紙が生まれました。では和紙はどのようにしてつくられたのでしょうか、まず原料として楮、三椏、雁皮などが用いられます。これらの原木を釜に入れて蒸し皮を剥ぎ取り乾燥します。

これを黒皮といい、さらに水に浸して黒い部分を削り取ります。これが白皮です。白皮をアルカリでよく煮て流水に晒してちりを取り除きます。

白くなった繊維を棒やつちで打ちほぐして水槽に入れ、ネリを加えて乳状液に仕立て、これを桁をはめた簀に汲み取って前左右にゆり動かして繊維をかみ合せ、余った液を前方に流し捨てると簀の上に繊維の層が薄く平らに残ります。これが紙を漉く方法で流し漉きといいます。この後漉きためた紙を圧搾乾燥して紙に仕上げます。

このようにして生まれた紙を宮廷に任えていた、清少納言や紫式部たちの手にも紙がわたり、すばらしい文学が今でものこっているのです。王朝文化をささえたひとつの柱は和紙だったともいえます。洋紙では及ばない強度や優美の長所を持っています。