新しい紙は要注意?!

何でもつくりたての新しい物の方が良いというがこの世の常ですが、用紙の場合は例外だといわれています。紙に限っては、抄きたてのものは扱いにくく、印刷に回すといろいろなトラブルを起こすもとになり、今昔を問わず、印刷屋さんの悩みのひとつと言われています。

考えられるトラブルとしては、見当不良、カール、印刷シワなど各種のものがあげられます。給紙の段階で、機械に入らなかったり、複写ものなどではズレ、多色刷りのものでは色ズレなどが起きてきます。

このようなトラブルが起きるのは、紙の湿気によるものが多く、特に抄きたての紙はパルプの繊維が落ちつかず、湿気を含んでいて紙がまだ生(なま)の状態だからです。現在では、工場出荷時の調湿技術もかなり向上し、このようなトラブルも少なくなってきていますが、やはり沙造後しばらく寝かされた紙にはかないません。「紙が枯れていない」とか、「紙が若い」といわれ、印刷前には必ず紙を干して使うといった方が以前には多勢いらっしゃいました。

紙の伸縮・湿度の問題は、本誌2号「紙に対する印刷クレーム」でもご紹介しましたが、「紙は生きている」といわれるように、たいへんデリケートなものです。「新しい紙は要注意」といわれるのも、どうも仕方のない事のようであります。