水に溶けない紙

紙は水に弱いものと相場が決まっていますが、水に強い紙もあります。

古いところではから傘の紙。これは和紙に柿渋を塗ったもので、かなりの耐水性があります。また、江戸時代の商家では、コンニャクのりを使って漉いた紙で大福帳を作っていました。

大福帳は今で言う帳簿ですから、火事などで燃えては大変です。火事の時は、まっ先に持ち出して井戸の中に投げ込んだということです。あとで引き揚げて乾かせば、また使えたそうですから、耐水性は抜群だったようです。

現代では、紙に合成のりを混ぜたり、合成繊維を接着したりする方法で、水に溶けない紙を作っています。紙の使いみちはいろいろですが、水に濡れてもいたまない海図や、湿度で狂いが出ない精密図面などが、代表的な例でしょう。