砕木パルプと化学パルプ

砕木パルプは、1844年ドイツのケラーによって発明されました。モミの木などの針葉樹の丸太を、砕石で水を掛けながら擦り下ろして、砕木パルプを作りました。

一方その頃、化学工業の発展で、酸やアルカリが工業的に使えるようになり、化学パルプが作られるようになりました。これは、木材のチップを薬品で煮て、繊維と繊維をくっつけているリグニンを溶かして除去したもので、セルロースが主成分です。砕木パルプだけでは、丈夫な紙は作れません。ぼろから作られるパルプや、木材から作られた化学パルプを混ぜることで、初めて実用性のある紙が可能となります。木材が紙の原料の主体になったのは20世紀になってからです。紙の需要増加に呼応して、木材から砕木パルプや化学パルプが安く、大量に作られるようになり、紙の消費量は文化のバロメーターといわれるようになりました。