紙の保存性

何世紀も前の西欧の手漉き紙には、現在も非常に良好な状態を保っているものがある。それらを調べるてみると、繊維が強靱で、pHが中性から弱アルカリ性を示すものが多い。また、マグネシウムやカルシウムなどが含まれており、これらが紙の保存に有効に作用したと考えられている。

保存性のよい紙の条件は、繊維が長く、リグニンや鉄分その他の不純物を含まず、漂白剤などで処理されていないことが挙げられる。

近年の研究により、サイジングが紙の保存性に多大な影響を及ぼすことがわかっている。その一方、ゼラチンを固める目的で加えられるミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム)は酸性であるため、使いすぎると紙が急速に劣化していく。

現在では伝統的なゼラチンによるタブサイジングのほか、新しい中性サイズ剤(アクアペルやアルキルケテンダイマーなど)を紙料に混ぜ込む内部サイジングを行う工房もある。