アオイ科の一年草。中国・タイ・ベトナムなどで栽培されてきた。もともとは布袋やロープに使われていた。
ケナフとは、ペルシャ語で「麻」を意味する。中国や日本では、かつて洋麻(西洋の麻)と呼んでいた。中国では現在、茎の色が赤いところから紅麻と呼んでいる。靱皮部・木質部とも紙原料になる。
わが国でも比較的簡単に栽培できる。印刷用紙・事務用紙・包装用紙・手漉き和紙などに使われ、環境保全に役立つ紙としてPRされている。
しかし、昨今言われるように、「森林を救う万能の植物」かどうか疑問もある。大量栽培による生態系への影響や、パルプ製造過程から出るシリカなどを含んだ排水処理など、課題は少なくない。このように、ケナフの是非をめぐっては、近年、環境論争も起こっている。
印刷用紙の適正は、墨色がよく出るのが特徴である。