紙幣用紙の特徴

現在使用されている1万円、5千円、千円の3券種の紙幣用紙は三椏、アカバなどの特殊な素材を用い、紙幣特有の風合い、淡い色調を保有しているほか、紙幣として不可欠な耐折性、耐引張性、耐引裂性、耐摩耗性、耐薬品性、非剥離性、非蛍光性を備えたうえに、表面の強さ、漉き入れ特性などの特徴を持つ。

その中で特筆すべき特徴は、肖像の白黒透かしであり、1万円券の福沢諭吉、5千円券の新渡戸稲造、千円券の夏目漱石の透かしは、きわめてシャープな輪郭線と豊かな白黒の格調をもっている。また、券面左下隅には、目の不自由な人々の利便のために、点字の「い」「ろ」「は」の文字を図案化した白黒透かしによる「識別マーク」が漉き込んであり、このマークは偽造防止に大いに貢献している。