高句麗、百済、新羅のいわゆる三国時代は仏教が盛んで、書画に用いる紙の需要を刺激しました。それに伴い、生産の必要性が増大し、紙文化の発展に大きな転機をもたらしました。
三国時代から新羅統一後までの製紙技術を知る手がかかりとしては、慶州・仏国寺の釈迦塔から出土した、現存する世界最古の木版印刷物で、韓国最古の紙類文化財でもある『無垢浄光大陀羅尼経』、『新羅白紙墨書大方広仏華厳経』などがあります。これらの紙をみると、国内の楮(こうぞ)を原料とする製紙技術が、この時代に確立されていったと思われます。『大方広華厳経』の裏面には、「楮の皮をひきうすで挽いてつくる」という楮紙の製法が記されています。
統一新羅時代の紙としては、鶏林紙が発展し、搗砧法によって仕上げられる今日の韓紙の基礎となりました。