大きくて、重くて、場所ふさぎの電話帳、厚さ3cm、重さ1kgと言う大辞典も顔負けの重量級も登場している。これは手軽にという当初の使命に反し、電話帳にからむ悪評の最たるもののひとつとなっている。
そこで30年ぶりに大改革が静かに進行中なのである。それは、電話帳に使われている紙の軽薄化。従来は1平方メートル当たり38.2gの用紙が使われていたのだが、これが34gのものに切り替えられつつある。紙の重さで1割減、厚さも1割減。クモの糸の太さ分くらい紙が薄くなったにすぎない。軽薄化とはいっても、容易なことではない。それでなくても粗雑に扱われる電話帳、紙にはそれ相応の強さ、耐久性が求められるし、印刷しても裏に透けないなどの特性も大事なのだ。紙の表裏に数字を刷る電話帳、表に3と印刷したつもりが、裏からのインクが透けてしまって8に化けたとあってはそれだけで失格。ただ薄い紙に変更すればすむ問題ではない。強度、印刷適正などに細かい規定があって、それをすべて満たした軽量紙を作らなければならない。
クモの糸分を減らした軽量紙は、年間10万トンに達する。電話帳用紙の使用量を確実に削減し、節約分は金額にして年間20億円になる。これまでは全く粗大ゴミと思っていたけれど少し見直してみては・・・。