紙のカールについて

カール、波打ち、タイトエッジはいわゆる“紙ぐせ”と呼ばれているもので、本来使用前も使用後も平らでなければならないものが、いろいろな原因のために使用前すでに変形していたり、または使用後に変形を生じて、印刷など加工作業の順調な進行を妨げたり、仕上がり商品の価値を下げたりするものです。

カールは紙の端がカールしているので、これには白紙カール・くわえ尻カール・印刷後カールの三つの種類があります。

■白紙カール

使用前にすでに発生しているカールで、この原因としては、抄造後巻取のままで長く保管しておいた紙によく生じます。
また表裏の伸縮の差の大きい場合、あるいは片面コート紙に出ます。

■くわえ尻カール

このカールは、オフセット印刷機の出口でインキによって紙が引張られることにより起こります。
紙にはある程度の弾力性があるので、インキのタックによって多少引張られても後でもとに戻ります。
しかしこの引張りが強すぎると、紙の内部組織にもとに戻らない変形が生じます。くわえ尻カールもその一つです。

図に示したようなもので他のタイプのカールとは違います。
このカールは紙の欠陥というよりも印刷条件に問題があるもので、インキのタックが高い、くわえ尻近くにべタ部がある、湿し水が多いなどの時に生じやすく、紙としては薄物あるいは縦目の紙に起こりやすいようです。

■印刷後カール

このカールは、印刷後に印刷面への方向に起こるものです。この原因は印刷中に非画線部はもとより画線部においてもインキに混入した湿し水が印刷面に付着吸収されることです。このため湿し水を吸収した繊雑は膨張し、反対面に向かってカールする力が生じ、排紙部で紙への張力が解放されるとカールとなって現われます。

このカールは付着した水の一部は蒸発し、残りは紙の内層にさらに浸透するのですぐ収まります。そしてこの紙の山を、次の印刷などに用いるために放置すると、その部から水分の蒸発が起こり、紙の乾燥が始まるとカールの方向が逆転して、最終的には水を塗った面へのカールが残ります。

紙は親水性物質であってその脱着によってその性質が少なからず影響を受けることになるので、水分の少ない紙に多量の湿し水を与える時にこの現象はいっそう著しくなります。

 

「印刷用紙のトラブル対策」より