パイプや葉巻を愛用する人に言わせると、紙巻きたばこは「紙臭い」ということですが、紙巻きたばこを吸っている人が紙臭さをがまんして吸っているという話は、ほとんど聞いたことがありません。
確かにパイプ用の刻みたばこや葉巻には、純粋にたばこの葉だけが使われているのに比べれば、紙という異物がいっしょに燃えているのですから、違った臭いが混じってもおかしくはないでしょう。
しかし、紙巻きたばこの巻紙も、そのあたりのことが十分考えられていて、無味無臭のものが使われています。その原料は麻100%という、なかなかの高級品。しかもこの巻紙、たんに無味無臭というだけでなくいくつもの厳しい条件をクリアして選ばれた厳選品なのです。
まず、巻いてあるたばこの葉が透けて見えない不透明性のものであること。火をつけたら、たばこの葉と同時進行で燃えること。そして燃えたあとは、たばこの葉の灰を包んで崩れにくく、かつ白く美しい灰であること。
また、最近は1分間に5,000本もの紙巻きたばこをつくり出す高速巻上機が使われていることもあって、その回転に耐えられる強さや伸び、さらには印刷のインクや糊との相性が良いことも必要条件とされるのです。
たばこの味に影響しないものであることはもちろんですが、最近は低タール、低ニコチンの軽いたばこが好まれていますので、巻紙にごく小さい目に見えないくらいの穴をあげて空気を通し、煙をうすめるという工夫もなされています。