文化が育てた紙

今、相撲が再び人気を得ています。外国での巡業も成功を収め、日本の文化が国内外で見直されているのでしょう。
ところで、日本で古来から発達してきたスポーツでは、紙が重要な位置を占めています。
これは紙への畏敬と関係があります。
相撲では、力水といって取組の前に、勝ち力士から水を受けます。土俵の四本柱の東西に置かれた水桶には、二つ割にして重ねたふたの上に半紙を半分に切って、二つ折りにした力紙が置かれています。力士は力水で口をすすぎ、身を清めた後この力紙でふいてから塩を土俵にまいて、チリを切ります。力紙は白い紙で、清浄無垢を表します。一場所で200帖(1帖=半紙20枚)の紙を使います。
また、土俵入りで締める横綱の綱には垂(しで)が下がっていますし、土俵の安泰を祈願して行われる土俵祭りのときや、部屋での稽古の後には土俵の中央に盛砂をして御幣を刺します。これらは弓道などの武道でも見ることができます。

(「紙のおはなし」から)