再生紙と呼ばれない“再生紙”

我が国の古紙の再利用率は、近年のリサイクルに対する意識の高まりと古紙処理能力の拡大、古紙利用技術の向上などにより年々高まっていて、昨年は全製紙原料に対する古紙の使用率は56.1%に達しました。製品としての紙や板紙の半分以上に古紙が使われていることになりますが、“再生紙”という言葉が誕生したため、誤って理解されている例もあるようです。

再生紙と称する紙のみに古紙が利用されていると思われがちですが、こんな例もあります。ある時、紙販売会社に「再生紙の段ボールはどこへ行けば買えるのか」という問い合わせがきたそうです。紙・板紙を分けると紙では3割、板紙ではなんと9割の原料に古紙が利用されています。段ボールはこの板紙に分類されるもので、再生紙と称していなくても段ボールは再生紙の優等生です。このほか毎日手にする新聞紙の原料の約半分にも古紙が利用されています。

最近の再生紙ブームは、印刷・情報用紙が中心になっていますが、陰に隠れた再生紙と呼ばれない“再生紙”もたくさんあることを忘れてはなりません。

そしてまた近い将来、原料に古紙の利用は当然という時代が来て、“再生紙”という呼び方がなくなる時代が来るかもしれません。