中性印刷用紙

出版・印刷業界で、今たいへん注目を集めているのが、この中性印刷用紙である。

従来は酸性抄紙が主流を占めてきたが、この酸性紙が長期にわたる保存には耐えられないことが近年問題となってきたためである。

中性抄紙は、抄紙工程における原料、白水系をPH7以上に調節させて抄造を行なうもので、このPH7は中性、7以下は酸性、7以上はアルカリ性となる。

従来の上質紙・中質紙のPHは4台、塗工紙の表面は5~6といわれているが、これらの酸性紙は年月の経過とともに、老化・劣化が進み、ひどいものは100年ともたないというのである。

日本に於いては、洋紙というものが抄造また利用されだして、まだ2世紀にもならないが、欧米諸国などでは図書館藏書などに、もうすでにボロボロのものがでてきているということである。

酸性紙から中性紙への転換は、こういった長期保存といった問題のほか、品質向上、排水処理等の問題もあり、各国各メーカーで研究が進められており、上質紙の中性紙化は、フランス65%、西独43%、イギリス35%といわれている。我が国に於いても、現在書籍用紙の25%は中性抄紙で抄かれているとのことで、ほとんどのメーカーが何らかの形で手がけている。中性紙の銘柄については、また別の機会にご紹介いたしましょう。