キャストコーティング

キャストコートはコート紙の一種に分類されますが、製法はまったく異なり、一般的なコート紙よりはるかに強い光沢を持つ高級塗工紙です。

キャストコーティングの製法は、1930年代のアメリカにおいて開発・工業化されました。誕生当時からその高い光沢性で注目を集めましたが、第二次世界大戦の勃発などが原因で、その後の開発事業は滞ってしまいました。しかし、戦後の復興とともに再度技術開発が取り組まれ、1950年代には日本にも導入されました。導入された当初はアメリカの製紙メーカーとの技術提携による生産でしたが、日本の製紙メーカーはさらに技術を発展させ、1950~1960年代には独自生産で量産するようになりました。

コート紙は、スーパーカレンダーと呼ばれる機械で強い圧力をかけ、紙全体を押しつぶすことによって艶と平滑性を生み出しています。一方、キャストコートは、キャストドラムと呼ばれる鏡のような平滑な表面をもったドラムに押し付けて、紙に無理な圧力をかけずに鏡面光沢を付与させる製法でつくられますので、コート紙に較べ、格段に高い光沢性が実現されました。