軽薄短小時代を代表する本として、文庫本(A6判)は、新しい企画を含めた新刊点数発行点数とも着実に伸びているようです。
今回はこの文庫本の歴史をご紹介します。
文庫本とは本来、書物を入れておく蔵(くら)のことをいい、これが転じて、例えば「金沢文庫」のようにまとまった蔵書をも意味するようになりました。その後さらに進んで、シリーズ出版を文庫というようになりました。
文庫本が有名になったのは、明治末期の「立川文庫」です。
しかし、小型でしかも安く買えるA6判のシリーズ本を一般に文庫本というようになったのは、昭和2年に出版された「岩波文庫」からです。
A6判というめずらしさもあって、その後「新潮文庫」「春陽文庫」が創刊されてブームとなり、文庫本の基礎になりました。
「角川文庫」は昭和25年に創刊。その後の文庫本の内容は、古典や名著を中心にした創刊が続き、昭和30年代から40年代前半に「旺文社文庫」「創元推理文庫」「ハヤカワ文庫」などが創刊されました。
昭和46年に「講談社文庫」が創刊後は、表紙をカラーカバーにしたり、映画と連動した販売方法等、新しい企画で文庫本に取りくもうとしている。現代では30社余りの出版会社が文庫本を出版しております。