学校や文房具やさんでときどき“模造紙”という言葉を耳にします。紙屋でも“A模造”という紙を扱っています。新入社員にとっては間違いやすい紙のひとつです。模造紙というご注文に、気をきかせてA模造を届けたとか届けないとか………。
はなし変わって、この“模造紙”れっきとした紙であるのになぜそんな名前がついているのだろうか?ものの本によりますと…
印刷局抄紙部(国の機関)が開発した三椏を手漉きした紙で通称“局紙”又は“鳥の子”とよばれた紙があった。明治18年4月、三井物産会社がこの販売権を一手に得、これを海外に輸出して名声を博した。この“局紙”は欧州に於いてジャパニーズ・ベラム(Japanese Verum)と名付けられたが、明治30年ごろから、ドイツ・オーストリア両国の製紙業者が亜硫酸パルプを使いこれに似せたシミリー・ジャパニーズベラム(Simiry Japanese Verum)という紙をつくり、逆に日本へ入れる様になった。
日本の製紙会社では、これをまた模造し、大正12年に今日のA模造に似た紙ができあがった–。ということであります。模造紙は海を越え、できあがった紙に似せた紙というのが、その名の由来のようであります。
<「紙業提要」成田潔英編・丸善株式会社発行より引用><池田>