葉に記した経文

インド、パキスタンなどでは、宗教的な理由から動物の皮を書写材料として使わないため、パルミラヤシ、コリハヤシといった棕櫚に似た木の葉に経文を記していました。

まだ開き始めたばかりの若い扇子状の葉を、長さ50センチ、幅7センチの大きさに切り、束ねて乾燥させた後、大工さんが使うような墨壺と糸を用いて5本の線をつけて、針のような筆記具で葉の両面に文字を刻みました。そして、すすと油を混ぜたインクを塗り込み、熱した砂でふき取って、糸を通して束ねて教典としていました。タイでは、バイラーンと称するタリポットヤシの葉を用いていました。

いずれも4~5世紀頃から近年まで使われ続けていましたが、中国から渡ってきた紙が次第に代用されていったそうです。