バルキー用紙

一般の書籍用紙の密度は塗工紙や微塗工紙を除くとおおよそ0.9g/cm3前後ですが、中質系の書籍用紙やラフ(粗い)と呼ばれている用紙の密度は0.6g/cm3から0.8g/cm3です。逆に聖書や事典、辞書に用いられるバイブル用紙やインディアペーパーの密度は0.8g/cm3から0.9g/cm3と差があります。

紙の密度は、坪量を厚さで除した値ですので、密度が低いということは軽く、厚さがある(束がある)ということになります。一般的には密度が低い紙の平滑性は粗くなるといえます。逆に塗工紙は塗工するカラーが重いため密度が高く、重くなりますが平滑性は高くなります。この用紙は印刷品質、再現性が良いために、高級美術書などの本文用紙等に使用されますが、重さ、冷たさ、光沢などの特性から敬遠され、用途に応じて、ナチュラルな感じで、軽く、風合いのあるバルキー(嵩高)な用紙が用いられるようになってきています。コミック紙など書籍の束を出す目的のものは、従来から使用されていますが、文芸書や写真、図版が入る本文用紙にも多用されつつあります。

上質系のラフ紙やバルキー紙と呼ばれるものの密度は、0.8g/cm3以下です。

最近、カラー印刷にも対応できる適性や、白色度・不透明度の高い、上質系の印刷用紙もつくられています。その一例として、インディアペーパーの不透明性、風合いをもつ新しいバルキー印刷用紙があります。また、嵩高コート紙、嵩高書籍用紙も開発され、市場ニーズに応えています。

さらに低密度の印刷用紙として、発泡性樹脂などを応用した低密度紙があります。これらの用紙の密度は、0.15g/cm3から0.3g/cm3と、上質紙の約1/5です。印刷適性のほか、保温性、断熱性、クッション性といった特性をも備えるので、カード類や文具、パッケージ等の用途が拡がります。