エンボスとは、今では紙の名称として毎日のように我々の耳にも入ってきますが、本来は“型”のことを意味しています。エンボスは紙表面の風合いを演出するのにはなくてはならないものとして、本来のコートエンボスの他にも、いろいろな紙を基として多くのパターンのエンボス紙が作られています。
梨地、布目、絹目、皮革調から幾何学模様まで、それぞれのパターンは、カラフルな色とともに、さまざまな肌ざわりや外観を出し、今やひっぱりだこ。表紙からチケット・パッケージ・壁紙などにと、あげればキリがないほどです。
このエンボス、基本デザインは各メーカーさんが色々と検討に検討を重ね決定され、それを專門の彫師がダイスにおこします。これをもとにエンボスロール(紙にエンボスをつける機械)が彫られますが、これにはミル彫刻といわれる一筋づつの手彫りの方法と、腐食彫りといわれるロールを硫酸系の溶液につけ腐食させ凹凸をつける方法があります。
腐食彫りはミル彫刻に比べ手数はかかりませんが、どうしても浅い柄向きとなります。深いエンボス物にはやはり手彫りのキメ細かさが必要となります。このようにたいへんな手間を要するエンボスですが、時代とともにそのパターンにも流行があるようで、たいへん興味深いものです。