クロスについて

書籍装禎をはじめ、ファイル、バインダー、アルバムや文具紙工品などの表装材として、また現代の新しい印刷素材として、ますます脚光を浴びてきている“クロス”。クロスは現代の需要に応える素材としてきわめて重要な存在となっている。

クロスは、書物を保護するために表装の役割をする。大昔は金、銀、宝石類をちりばめた豪華装禎が流行し、装禎は純粋美術のひとつとして作品の優劣が大いに競われていました。産業革命とともに皮革用紙(ヤギ、ヒツジ、コウシの革をなめした物)からクロスへとかわってきた。

書籍装禎にクロスが登場したのはイギリスがはじめで、布に塗料を塗布して皮革にかわる素材を考えたのが今日の布クロスの前身です。わが国で初めてクロスが製造されたのは歴史の都京都です。

クロスとは、文字どおり布(Cloth)のことですが、明治以降大正初期まで洋装本の装禎用として欧米から輸入した素材が布の加工品でした。正式にはBook Binding Clothと呼ばれていたところから、省略して“クロス”と称されていたのです。クロスは布ばかりではなく、紙も多く使用されるようになったので「布クロス」・「紙クロス」と一般に呼ばれている。