透ける紙・トレーシング

トレーシングペーパーは名前が示しているとおり、製図を複写(トレース)するために開発された半透明用紙です。

透明な紙を作るには、紙の主原料である木材繊維(セルロース)が光を透過する透明な素材であるため、紙を抄造する際に木材繊維自身の隙間や木材繊維間の隙間をできるだけ少なくすることによって透明な紙が得られます。そして抄紙機にかける前に一般紙よりも叩解を進めます。これはパルプをより細く毛羽立たせることにより、上下左右の繊維を絡みやすくするためです。

トレーシングペーパーと一般紙の違いは密度にあります。例えば上質紙の密度は約0.78g/cm3程度ですが、トレーシングペーパーは約1.2g/cm3と非常に高密度(パルプ繊維が詰まっている)に抄造されています。

トレーシングペーパーは設計・製図分野でのニーズに応えて生まれましたが、現在では招待状や案内状などのカード類や包装紙など、その用途は広がっています。